IP68と書かれたスマホでも、シャワーや海水は試験条件の対象外です。Apple・Google・Samsungは3社とも、風呂・シャワー・水辺への持ち込みを避けるよう案内しています。

試験等級と日常の水回りは別の軸の話で、修理保証となるとさらに別の問題です。

🗺 スペック表の「IP68」に圧縮された4つの問題

IP68には混ざりやすい4本の軸があります。「等級の数字が何を意味するか」「同じIP68でも機種によって試験条件が違うこと」「日常の水回りと試験に使う水が別条件であること」「耐水性能と修理保証は別の話であること」です。

スペック表を見るだけでは、この4点が全部「IP68」の一語に収まって届きます。

この記事を読み終わると、IP68という等級が何を保証していて、何を保証していないかがはっきりします。

🔢 Q1. IP68の「6」と「8」はそれぞれ何の数字か

IP codeはIEC 60529が定める外来固形物と液体への保護等級の表記です。2桁の数字で構成されていて、最初の桁が固形物への保護、2桁目が液体への保護を示します。

「IP68」の「6」は固形物保護の最高等級で、完全な防塵を意味します。「8」は液体保護の中で最高ランクに分類されますが、「完全防水」とは意味が異なります。

「IP68」の「8」が示すのは、メーカーが定めた試験条件をパスしたという事実です。「あらゆる水や液体に耐える」という宣言ではありません。

📐 Q2. IP68なら全機種が同じ水深まで耐えるのか

同じ「IP68」でも、機種ごとに試験の水深と時間が異なります。

Appleのサポートページで確認すると、iPhone 7/8/XはIP67で水深1mに30分、iPhone 11はIP68で水深2mに30分、iPhone 12以降は最大6mに30分という設定です。等級が同じ「IP68」でも、世代ごとに試験の水深が変わります。

Samsungも機種によってIP68の条件が違います。スペック表で「IP68」だけを見て「全機種が同じ条件」と読むのは誤読です。機種ごとの詳細は、Apple・Google・Samsungそれぞれの公式サポートページに掲載されています。

🚿 Q3. 風呂・シャワー・海・プールで使っていいのか

IP68の試験は、静止した清水(純水や真水)の中での試験を基準としています。シャワーの水圧、風呂の温水、海水の塩分・ミネラル、プールの塩素は試験条件に含まれません。

IP等級と日常の水回りの違い

Appleのサポートページは「高圧水、サウナ、スチーム、シャワー、浴槽、意図的な水没、プールは避けてください」と明示しています。Googleも「シンク・シャワー・サウナ・浴槽・プール・水辺への持ち込みは避けて」と書いています。

Samsungも塩水への接触後は真水で洗い流して乾燥させる手順を案内していますが、「塩水でも使っていい」の意味ではありません。3社ともに「耐水性能は永続するものではなく、摩耗や落下・ひび割れで低下しうる」という説明も共通しています。

⚠️ Q4. 濡れた後に避けるべきことは何か

水に濡れた直後は、いくつか操作を待つ必要があります。

Apple・Samsung・Googleのいずれも、濡れた状態での充電は避けるよう案内しています。USB-CやLightning端子に水分が残った状態でケーブルを差し込むと、端子が腐食するリスクがあります。

Samsungはマイク・スピーカー・USBポートの水分排出を待ってから使うよう説明しています。SIMトレイも、水分が残った状態でトレイを開けると内部への水の侵入経路になります。公式が案内する手順は「端末を軽く振って水を出す」「端子を下に向けて自然乾燥させる」「完全に乾いてから充電する」です。

🛡️ Q5. IP68なのに液体損傷が保証されないのはなぜか

IP68と修理保証は別の問題です。これは正直、最初に公式ページを読んだとき驚いた部分でした。

Appleのサポートページには「液体による損傷はAppleCare+の補償対象外」と書かれています。Samsungも液体損傷による故障は通常の製品保証の対象外と説明しています。IP68表記があっても、水濡れによる故障が保証対象外になるケースは多いのです。

理由は前述した通りで、耐水性能は使用と時間の経過で低下します。購入時にIP68をパスしていても、半年後・1年後に同じ試験をパスするとは限りません。保証を考えるなら、AppleCare+など液体損傷を補償するプランへの加入を購入時に確認することが実用的です。

🔍 IP68の数字を正しく使うために

IP68という等級だけでなく、機種別の条件・水回りの種類・保証の範囲を合わせて見ると、日常の判断が安全側に倒せます。

機種別の試験条件(水深・時間)はメーカー公式ページで確認できます。風呂・シャワー・海・プールが試験条件の対象外であることと、液体損傷が保証範囲かどうかは、購入時に合わせて確認するのが実用的です。

個人的には、Apple・Google・Samsungが3社そろって「シャワー・風呂・水辺は避けて」と書いているシーンの一致が印象的でした。IP68は「あらゆる水への保証」ではなく「特定の試験をパスした等級記号」として読むのが正確です。

出典

  • Apple Support「About splash, water, and dust resistance of iPhone 7 and later」https://support.apple.com/en-us/108039 (2026-05-09 参照)
  • Google Pixel Phone Help「Help prevent water damage to your Pixel phone」https://support.google.com/pixelphone/answer/7533279?hl=en (2026-05-09 参照)
  • Samsung Support「Galaxy phones and tablets dust and water resistance (IP rating)」https://www.samsung.com/us/support/answer/ANS10001610/ (2026-05-09 参照)
  • IEC「IP ratings」https://www.iec.ch/ip-ratings (2026-05-09 参照)
  • Android Authority「Waterproof tech: Everything you need to know about IP and ATM ratings」https://www.androidauthority.com/ip-ratings-explained-746306/ (2026-05-09 参照)