iPhoneを使っていると、緑の吹き出しが並ぶ会話があります。RCSとSMS/MMSはどちらも緑で表示されるため、見た目だけでは経路の区別がつきません。

2026年5月、GoogleはAndroidとiPhone間のRCSでエンドツーエンド暗号化(E2EE)の展開を始めました。「RCSなら安全」と受け取りたくなりますが、E2EEが成立するには自分側だけでなく相手側の条件も揃う必要があります。この記事では、送信経路・機能・暗号化という3つの軸から、RCS・SMS/MMS・iMessageを切り分けます。

📍 この記事で解く疑問

RCS、SMS、MMS、iMessage。名前はよく見ますが、それぞれの意味は混同されがちです。ここで切り分けたいのは次の4点です。

  • RCSはSMSとは別の経路を使います
  • iPhoneの緑の吹き出しにはRCSとSMS/MMSの両方があります
  • RCS対応とE2EEは同じ条件ではありません
  • 相手・キャリア・OS・アプリの4条件が揃わないとRCSは成立しません

この4点を押さえると、会話画面の送信方法表示と鍵アイコンを見て「今どの経路か」を自分で判断できます。

📡 RCSはSMSの新世代版ではありません

SMSは電話番号を使って電話回線で届く仕組みです。Wi-Fiが切れていても送れるのはそのためで、テキストの文字数制限と画像の圧縮が前提です。

RCS(Rich Communication Services)はデータ通信で動きます。Wi-Fiかモバイルデータが必要で、電話回線は使いません。高解像度の写真や動画を送れ、既読通知・入力中表示・グループの参加者編集に対応します。

ここが個人的に面白いポイントです。SMSとRCSを「旧世代と新世代の同じもの」として見ると、挙動が謎に感じられます。実際には別の経路が並走していて、条件次第でどちらを使うかが動的に変わる設計です。

RCSが使えない状況になると、GoogleメッセージはSMS/MMSに自動で切り替わります。この切り替えは静かに起きるため、経路の変化に気づかないまま低画質の写真を送ってしまうことがあります。

📱 緑の吹き出しの中に2種類の経路があります

iMessageはApple同士の会話でApple IDが有効な場合に機能します。端末間での認証が通れば自動でE2EEが成立し、会話は青で表示されます。

iMessage以外の会話はiPhoneでは緑になります。RCSでつながっている会話もSMS/MMSの会話も、見た目は同じ緑です。

RCS・SMS/MMS・iMessageの機能と暗号化条件の比較

Googleメッセージアプリでは、テキスト入力欄の横に「チャット(RCS)」「SMS」「MMS」の送信方法が表示されます。複数人のグループで1人でもRCS非対応のメンバーがいると、グループ全体がSMS/MMSになります。

iPhoneのメッセージアプリでは、iOS 18以降・対応キャリアの場合にRCS会話で経路の表示が出ます。Appleのサポートページでは、RCSがキャリア提供のサービスであり、キャリアごとに対応状況が異なると説明されています。

🔒 E2EEが成立する条件と、SMSに戻る条件

RCSがつながっていることとE2EEが成立していることは別の条件です。Googleの公開情報では、E2EEのRCSに現時点で対応しているアプリはGoogleメッセージのみと説明されています。

AndroidとAndroidの間では、両方がGoogleメッセージを使っていればE2EEが成立します。AndroidとiPhone間では、iOS 26.5 beta以降のiPhone・対応キャリア・最新のGoogleメッセージが揃った会話で、鍵アイコンが表示されるE2EEになります。

Googleは「展開開始」と発表していますが、対応キャリアと相手のiOSバージョンの確認は別途必要です。RCSでつながっていてもE2EEの表示が出ていない会話はあります。会話画面の鍵アイコンや「Encrypted」の表示が、現時点での確実な確認手段です。

SMS/MMSに切り替わった会話にはE2EEはありません。送信経路が電話回線に変わり、写真画質も落ちます。緑の吹き出しでも、送信方法の表示が「SMS」になっていれば経路が変わっていると判断できます。

🔍 自分の画面で確認する場所

Googleメッセージでは、設定→「RCS チャット」でステータスを確認できます。「接続済み」になっていれば自分側のRCSは有効な状態です。相手側の状態は、会話を開いた時の送信方法表示で分かります。

iPhoneでは、設定→「メッセージ」→「RCS メッセージング」で有効・無効を確認できます。iOS 18以降・対応キャリアの場合に表示される設定項目で、Appleのサポートページでキャリアごとの対応状況を確認できます。

E2EEの有無は会話画面に出ます。Googleメッセージでは暗号化された会話の入力欄に鍵アイコンが表示され、iPhoneのRCS会話では「Encrypted」と出ます。これらの表示が出ていなければ、RCSで送っていてもE2EEは成立していません。

規格名は覚えなくても大丈夫です。「SMS」「RCS」「Encrypted」の表示と鍵アイコンを会話画面で見る習慣があれば、写真を高画質で送れるか・暗号化されているか・SMS経路に切り替わっていないかを自分で判断できます。

📚 出典

  • Google メッセージヘルプ「Rich Communication Services(RCS)メッセージについて」https://support.google.com/messages/answer/13508703?hl=ja
  • Google メッセージヘルプ「Google メッセージで RCS チャットをオンにする」https://support.google.com/messages/answer/7189714?hl=ja
  • Google メッセージヘルプ「エンドツーエンドの暗号化によるセキュリティ強化」https://support.google.com/messages/answer/10262381?hl=ja
  • Apple サポート「What is the difference between iMessage, RCS, and SMS/MMS?」https://support.apple.com/en-us/104972(公開日:2026-05-11)
  • Google Android Blog「End-to-end encrypted RCS messaging begins rolling out today for Android and iPhone users」https://blog.google/products-and-platforms/platforms/android/android-ios-end-to-end-encrypted-rcs-messaging/(2026-05-11)