スペック表に「120Hz対応」と書かれていると、動画もゲームもスクロールも、全部なめらかになるように見えます。

でも実際は、3種類の「Hz/fps」が別々の話として並んでいます。測っているものが違うので、120Hzのディスプレイを持つスマホでも「全部120」にはなりません。公式ドキュメントを読むと、その設計がよく分かります。

🗺️ 3つの数字が別のレイヤーにある理由

スマホの画面まわりで登場する数字は、大きく3種類に分かれます。

  • リフレッシュレート(Hz):画面が1秒に何回描き直すか
  • フレームレート(fps):アプリや動画が1秒に何枚の絵を出すか
  • タッチサンプリングレート(Hz):指の入力を1秒に何回検出するか

スペック表の「120Hz」は、ほとんどの場合リフレッシュレートのことです。fpsとタッチサンプリングは別のレイヤーです。

この3つを切り分けると、動画・ゲーム・SNSスクロール・電池持ちのどこで120Hzが意味を持つのかが分かるようになります。

🖥️ リフレッシュレートは画面側の「更新速度」

リフレッシュレートは、ディスプレイ自体が1秒間に何回絵を書き直すかを表します。

60Hzなら約16.6ミリ秒ごとに更新、120Hzなら約8.3ミリ秒ごと、90Hzは約11.1ミリ秒ごとです。この間隔が短いと、画面の動きが視覚的に滑らかになります。

OSのアニメーションやSNSのスクロール時に「ぬるっとした」感触になるのは、リフレッシュレートが上がっているからです。ここは120Hzが直接効くレイヤーです。

🎬 fpsはアプリ・動画側の「出力速度」

フレームレート(fps)は、アプリや映像コンテンツが1秒間に生成する画像の枚数です。リフレッシュレートとは独立して動いています。

映画や一部の配信動画は24fpsで制作されています。120Hzのディスプレイで見ても、映像の中身は24枚しか出ていません。画面が120回更新されても、同じ絵を繰り返し表示するだけです。

Apple SupportのProMotion説明では、24fpsコンテンツに対して48Hzや47.95Hzといった「コンテンツのfpsと割り切れる比率」のリフレッシュレートへ調整することがあると説明されています。コンテンツのfpsに合わせて動く設計です。

60fpsで動くゲームを120Hzで表示するケースについて、AndroidのFrame Pacing libraryのドキュメントが参考になります。

60fps描画を120Hzで表示すると不必要な画面更新が起きることがあるため、実際のコンテンツに近いリフレッシュレートへ調整して電池消費を抑える設計について説明しています。スマホが「常時120Hz」で動くのではなく、コンテンツのfpsに合わせて調整する場合があります。

👆 タッチサンプリングは指の入力を拾う速さ

タッチサンプリングレートは、リフレッシュレートとは完全に別の話です。

1秒間に何回、指の位置を検出するかを表します。240Hzのタッチサンプリングなら1秒間に240回、指がどこにあるかを確認します。高い数値は、高速な指の動きを細かく拾えることを意味します。

ゲームでの素早い操作は検出精度の影響を受けることがありますが、動画視聴やSNSのスクロールには直接関係しません。画面のなめらかさと同じ軸で評価できる数字ではありません。

リフレッシュレート・フレームレート・タッチ入力の3レイヤー構造

🔋 可変リフレッシュレートは電池・動画・ゲームのバランスを取る仕組み

最近のスマホには、シーンに応じてリフレッシュレートを自動で変える機能が入っています。

AppleのProMotionやAndroidの適応型リフレッシュレートは、テキストを読んでいるときは低いHz(1Hzや10Hz程度)に落とし、スクロール中やゲーム中は高いHzに上げます。Apple Supportの説明では、ProMotionはコンテンツのフレームレートに適応すると説明されており、常時120Hzで動作するものではないとはっきりしています。

個人的に唸ったのはここで、「120Hzに設定すれば常に最高」という単純な話でないんですよね。コンテンツのfpsと画面のHzの組み合わせで、最適なリフレッシュレートが変わる設計になっています。

電池への影響については、可変制御と組み合わせると静止時の消費を抑えられる場合があります。GoogleのFrame Pacing libraryも、コンテンツのfpsに近いリフレッシュレートへ調整することで電池消費を下げられると説明しています。

📱 用途で見るべき数字が変わる

SNSスクロールやOS操作の滑らかさには、リフレッシュレートが直接関係します。60Hzと120Hzの差は、スクロール時の視覚的な感触として出てきます。

映画や配信動画では、コンテンツ自体が24fps〜30fps制作のものが多いため、ディスプレイが120Hz対応でも映像の中身は変わりません。

ゲームでは、ゲームアプリ側が60fpsや90fpsの描画に対応しているかが前提です。スマホのリフレッシュレートが高くても、ゲーム側のfpsが追いついていなければ見た目の変化は出ません。

タッチサンプリングレートは、精密な操作が求められるゲームであれば意味を持ちます。動画視聴やSNS利用では効果が出る場面が少ないです。

スペック表の「120Hz」がどのレイヤーの数字かで、次に見る仕様が変わります。動画ならfps、ゲームならfpsとタッチ入力、SNSならリフレッシュレートです。

📚 出典

  • Android Developers「Frame rate」(Google、2026年6月6日参照)
  • Android Developers「Frame Pacing library」(Google、2026年6月6日参照)
  • Apple Support「Change the refresh rate on your MacBook Pro or Apple display」(Apple、2026年3月10日付)
  • Apple Support「Use an Adaptive Sync external display with your Mac」(Apple、2026年4月7日付)