microSDカードを選ぶとき、表面の記号を全部読もうとすると数字の洪水になります。容量を見て買ったのに動画撮影中に書き込みが追いつかない、Switch 2に挿したら「対応していない」と表示される、といった経験は、記号の種類を混同していることから来ます。
カード表面には4種類の情報が別々に載っています。容量の区分(SDHC/SDXC/SDUC)、最低連続書き込み速度(C10/U3/V30など)、ランダムアクセス性能(A1/A2)、バス規格(UHS-I/microSD Express)。どれか一つが高くても他の保証とは別の話で、用途ごとに確認する記号が変わります。
🗺 用途と記号の対応を先に確認する
カメラで動画を録るなら最低連続書き込み速度(V30・V60など)を確認します。スマホでアプリを動かすならランダム性能(A1/A2)とホスト側の対応を確認します。Switch 2でゲームを遊ぶなら、microSD Expressのロゴが必須条件です。
この3つの場面でそれぞれ別の記号を見ている、というのが4種の前提です。数字が大きければすべてに速い、という読み方が成立しないのは、それぞれの記号が測っている対象が別だからです。
📦 SDHCとSDXCは容量の区分
SDHC(最大32GB)・SDXC(最大2TB)・SDUC(2TB以上)は、カードが扱える容量の規格区分です。速度を保証する表示ではありません。
容量区分が上がると対応機器の要件も変わります。SDHCのみ対応の古い機器にSDXCカードを挿すと認識しないケースがあります。購入前に機器のスペックシートで「対応メモリーカード」の欄を確認します。
🎬 V30・U3・C10は最低連続書き込みの保証
C10・U1・U3・V6〜V90は、SD Associationが定めた「最低連続書き込み速度」の保証記号です。U3とV30はどちらも30MB/sの最低連続書き込みを保証します。
重要なのは「最低保証」という性質です。動画録画中に要求される書き込み速度をそのカードが下回らない、という意味で、カードの最大書き込み速度とは別の話です。V60は60MB/s、V90は90MB/sの最低保証で、8K動画やRAW連写向けに定義されています。
SD Associationは、ホスト(カメラ側)とカードの記号が一致することを前提としています。V30対応カメラにV90カードを挿しても、カメラ側の書き込み要求はV30水準のままです。スペック表の「最大書き込み速度」とは別に、録画する映像形式が要求するビットレートと照合します。
📱 A1とA2はランダムアクセスのIOPS保証
A1・A2は、スマホアプリの起動やゲームの読み込みで効くランダムread/write IOPSを保証する記号です。A1は最低1500 read IOPS・500 write IOPS、A2は4000 read IOPS・2000 write IOPSを保証します。
公式仕様書を読み込むと、A2にはカードだけでなくホスト側の実装が必要だと明記されています。スマホやタブレットがA2機能に対応していないと、A2カードを挿してもA1相当の動作にとどまります。
カードだけでなくシステム全体で性能が決まる設計はよく考えられていると思うんですよね。「カード表面のA2ロゴだけ見ても確定しない」という点を、購入前に機器のスペックシートで確認します。機器でのA2対応が確認できない場合はA1で問題ありません。
⚡ microSD ExpressはPCIe/NVMeを使う別の規格
microSD Expressは、従来のUHS-IやUHS-IIとはバス規格が根本から異なります。PCIe/NVMeインターフェースを採用していて、SD AssociationはE150(最大150MB/s)・E300(最大300MB/s)・E600(最大600MB/s)などのクラスを定義しています。
形状は従来のmicroSDスロットに物理的に入りますが、内部の通信方式は別物です。ホスト側がmicroSD Expressに対応していないと、Express対応カードを挿しても従来UHSの速度域で動作するか、認識しません。
カードの性能が低いのではなく、接続先の対応の問題です。規格ロゴと同時に、使う機器側の対応可否を確認します。
🎮 Switch 2で従来のmicroSDXCは使えるか
任天堂の公式情報によると、Switch 2のゲームカード拡張スロットはmicroSD Expressのみに対応しています。最大2TBのmicroSD Expressを使ったゲームデータの保存・インストールが可能です。
手持ちの従来microSD・microSDHC・microSDXCをSwitch 2に挿した場合、ゲームタイトルの保存には使えません。使える用途はNintendo Switchから転送したスクリーンショットや動画のコピーに限られます。任天堂のサポート情報では、セーブデータはSwitch 2本体に保存される仕様で、microSD Expressへのコピーもできないとされています。
規格適合のmicroSD Expressカード同士でも、複数メディアの検証によると読み込み速度やランダム性能にカードごとの差があります。規格ロゴ確認が最低ラインで、その上でメーカー公表の実測値を見る流れが確実です。
🎯 用途から逆算して記号を選ぶ
4種の保証が分かれば、カード選びは「何を録る・動かす・遊ぶか」から逆算できます。
動画撮影カメラには、撮影設定のビットレートに応じたV30・V60・V90を確認します。スマホのアプリ動作にはA1またはA2を確認し、A2はホスト対応かどうかも機器スペックで見ます。Switch 2でゲームを遊ぶなら、microSD Expressロゴがある製品のみ対象です。
「数字が大きければすべてに速い」という読み方だと用途を外します。V90のカードがSwitch 2向けに優れているわけではなく、A2のカードが動画に強いわけでもありません。カード表面の記号が何を保証しているかを確認するのが、選択ミスを防ぐ方法です。
📚 出典
- SD Association「Speed Class」https://www.sdcard.org/developers/sd-standard-overview/speed-class/(2026-06-20参照)
- SD Association「Application Performance Class」https://www.sdcard.org/developers/sd-standard-overview/application-performance-class/(2026-06-20参照)
- SD Association「Bus Speed (Default Speed/High Speed/UHS/SD Express)」https://www.sdcard.org/developers/sd-standard-overview/bus-speed-default-speed-high-speed-uhs-sd-express/(2026-06-20参照)
- SD Association「SD Memory Card Choices with SD/SDA Logos」https://www.sdcard.org/consumers/about-sd-memory-card-choices/(2026-06-20参照)
- Nintendo of America「Nintendo Switch 2 Tech Specs」https://www.nintendo.com/us/gaming-systems/switch-2/tech-specs/(2026-06-20参照)
- Nintendo Support「microSD Express Card FAQ」https://en-americas-support.nintendo.com/app/answers/detail/a_id/68218/~/microsd-express-card-faq(2026-06-20参照)

