財布のカードポケットに丸いAirTagを無理やり突っ込んで、革が丸く伸びて泣いた経験はないだろうか?
厚さが8ミリもあるコイン型の金属を薄い革財布へ収めるのは無茶がある。
そこで気になってくるのがAnkerのEufy SmartTrack Card E40だ。 厚さはわずか1.7ミリで、クレジットカードとほぼ同じ感覚でスッと収まる。 満充電から最大5か月使えるQiワイヤレス充電にも対応してきた。
財布用トラッカーの完成形に見えるかもしれない。
僕も勢いで飛びついた口だけど、知っておくべき割り切りがいくつかあった。 AirTagと同じような矢印による精密案内を期待すると確実に後悔するはずだ。
GPS追跡という勘違い
スマートフォンの「探す」機能に登録できると聞くと、GPSで常に現在地を追える端末だと錯覚しがちだ。 このカード単体には衛星の電波を受け取るアンテナなど入っていない。 動いている仕組みはBluetooth信号の発信だけだ。
周囲を通りかかった誰かのスマホがその電波を拾い、クラウド経由で持ち主に位置を届けてくれる。 人通りの少ない道で落としたら、誰かが近くを通るまで地図上のピンは動かない。 常時追跡する機械だと信じて買うと痛い目を見るだろう。
じゃあ家の中で財布を見失ったときはどう探すのか?
電波が届く距離にあれば、スマホからカードの内蔵スピーカーを鳴らして音で探す使い方が基本になる。
財布に収まる1.7mmの代償
約85×54×1.7ミリというサイズと約12グラムの軽さは文句なしに優秀だ。 二つ折り財布の隙間に差し込んでも不格好な出っ張りが生まれない。
専用ケーブルを増やさずに、手持ちのQi充電台へポンと置くだけで給電できる設計も気が利いている。 使い捨てにせず約2時間で満充電にできる点には、確かな設計の必然性を感じる。
ただし財布の素材には事前の注意が要る。 スキミング防止用の金属メッシュが入った財布だと、電波が遮られて通信できなくなる恐れがある。
薄いからといって、どんな財布でもすんなり電波が通るとは限らない。
両OS対応の看板と切り替え
Appleの「探す」とGoogleの「Find Hub」の両方に対応している点も目を引く。 家族で別々のスマホを使っているなら、全員で同じカードを追跡できると思ったんじゃない?
残念ながら2つのネットワークへ同時に登録できる設計ではない。 Appleのネットワークで使うか、Googleの側で使うか、どちらか1つを選ぶ形になる。
管理する端末をiPhoneからAndroidへ切り替えるときは、現在のペアリングを一度解除して最初から再設定しなければならない。 両対応という看板は、スマホを買い替えたときにカードまで買い直さずに済む保険だと受け止めるのが正解だ。
5990円の価値とAirTagの差
一番割り切るべき部分は、近距離での方向や距離を示す機能がない点だ。 AirTagにはUWBと呼ばれる通信規格が積まれていて、部屋の中で右にあと何メートルといった矢印の案内が出る。 E40にはその仕組みが入っていない。
部屋の中で財布が隙間に滑り込んだとき、頼りになるのは画面の矢印以上にカードから鳴るアラーム音だけだと思う。 財布の奥底に挟まっていたら、公称約80デシベルの音も布に遮られて小さく響いてしまう。
電池の持たせ方でも使い勝手が分かれる。 市販のボタン電池で1年以上放置できるAirTagと違って、数か月に一度は充電台に乗せる手間が発生する。
矢印による精密な探索を手放してでも、財布の薄さを守りたい人向けの割り切りだ。
国内価格の5,990円のうち、僕らが払っているのは1.7ミリの薄型化とQi充電の仕組みに対してだ。 手持ちの財布へ違和感なく忍ばせるためだけの対価だと納得できるなら、十分に満足できる買い物になる。
逆に部屋の中で手厚い矢印案内を受けたいiPhoneユーザーなら、AirTagを選んだ方がストレスを抱えずに済むはずだ。
レジで支払う段階になって焦らないよう、自分の財布に電波を遮る金属プレートが入っていないか確かめておこう。



