掃除機を部屋に放り出したら、2か月間は何もしなくていい。そんな甘い夢を見てルンバ205の購入ボタンを押そうとしているなら、指を一旦止めたほうがいい。

「最大60日ゴミ捨て不要」という言葉の裏には都合のいい省かれ方がある。

大型のゴミ収集機を置く場所がないからと、この薄型機に飛びつく人は多いはずだ。手入れがゼロになると信じて買うと、確実に痛い目を見ると思う。

圧縮と自動排出の勘違い

本文図解1

ルンバ205が誇るDustCompactorは、名前こそ派手だが仕組みは極めて物理的だ。ダストボックスの中でワイパー状の板が動き、たまったホコリを力任せに押しつぶす。

要するに、本体の中へ無理やり詰め込んでいるだけにすぎない。

ステーションがゴミを吸い上げて紙パックへ送る機能はないんだ。ぎゅうぎゅうに固まったゴミの塊を最後につまんで捨てるのは君の手だ。

公式がうたう最大60日という数字も理想的な環境を前提にした設計上限である。ペットの毛が多い家や部屋数が多い環境なら、もっと短い間隔で満杯になる。

実際に1か月ほど捨てずに済んだ購入者の記録もあるから、圧縮の機構自体はきちんと機能する。ただ、捨てる回数が減るだけでダストボックスの清掃やフィルターの目詰まり落としはそのまま残る。

水拭き後に残るモップ作業

ゴミ圧縮

吸引と同時に水拭きまでこなす器用さもこの機種が魅力的に見える理由だろう。だが充電ステーションの小ささを手放しで喜ぶと痛い目にあう。

この充電台には自動給水もモップの洗浄乾燥機能も付いていない。

水タンクの容量は控えめで、部屋の広さによっては数日も持たずに空っぽになる。水を入れる作業だけでも地味に生活の手間を増やしていく。

それ以上に厄介なのが掃除の終わったモップだ。湿った布を本体の裏側に貼り付けたまま放置したらどうなると思う?

数時間もすれば雑菌が増えて、嫌な臭いを部屋中に放ち始める。

水拭きを走らせるたびに、人間がパッドを剥がして手洗いして干さなければならない。ゴミ捨ての回数を減らしても、水回りの手入れで呼び出されるなら本末転倒じゃないか。

センサーが苦手な床と境界

LiDARセンサーで部屋の地図を描き、カーペットを検知して避ける機能も備わっている。じゃあ床のトラブルが完全に消えるのか?

現実はそこまで都合よく動かない。

硬いフローリングと毛足の短いラグの境目では濡れたモップを引きずってしまう場面が報告されている。敷物の端っこをしっとり湿らせていく光景は見ていて気分が落ち込む。

床に散らばった電源コードや薄い玄関マットに乗り上げて、人の手を借りるまで立ち往生するトラブルも起きる。Wi-Fi環境が整っていなければ、アプリからの細かな進入禁止エリア設定すら使えない。

センサーのうたい文句を信じて動かしたら、床の障害物を片付ける人間の労働が結局必須になった。

6万円の支払い先を裁く

価格は約59,200円だ。同じメーカーのラインアップを見渡すと、同価格帯にはゴミをステーションへ自動排出する別モデルも並んでいる。

9万円を超える上位機へ予算を積めば、モップの自動洗浄や乾燥まで手に入る。

僕はこのルンバ205の割り切りに対して筋の通った部分もあると見ている。部屋の隅を占領する巨大なタワーを拒否しつつ、ゴミ箱へ通う回数だけを削りたい人には理にかなった設計だからだ。

水拭きの後始末まで完全に機械へ丸投げしたいなら、購入を見送って上位機のために貯金するべきだ。自室の床から障害物をどかして、モップを毎日洗う覚悟を決めた人だけがこの省スペースな相棒を迎え入れればいい。

出典