富士フイルムのinstax Pal 2が10月9日に出た。値札は税込2万5300円になる。

初代Palを持っていて、10MPの文字に財布が開きかけている人へ。

無線でスマホに送った写真は1MPで届く。しかも本体から紙は一枚も出てこない。

チェキの名前を背負ってこの仕様かよ、と声が出た。

僕は初代の画質に不満があって、10MPの一点でPal 2を買った。だから転送経路の仕組みを知った時はけっこう本気で腹が立った。

チェキなのに紙が出ない

本体プリントと別売プリンターの関係

Pal 2がやるのは撮るところまで。スマホへ送るのはアプリの役目になる。紙に刷るには別売のinstax Linkシリーズやmini Evo、mini LiPlayが要る。

撮る・送る・刷るの三段を、三つの機器とアプリで分担している構成なわけだ。

チェキの新作だと思って買った人は、開封して排出口を探すことになるだろう。

探しても見つからない。

本体の値札だけで元を取る製品と考えると勘定が合わない。紙まで欲しい人の財布には、最初の一枚からプリンター代が乗ってくる。

10MPは経路で細くなる

USB Type-CとBluetoothの保存経路

撮影は10MPと1MPのモードから選べる。厄介なのはスマホへ渡す道の方にある。

無線転送は1MPで、1枚に約15秒かかる。有線のUSB Type-C転送なら撮った画素数のまま、約0.75秒で1枚が渡る。

道の選び方ひとつで、同じ写真が別物になる。

じゃあ有線にすれば安心か?

有線で取り込んでも安心しきれない。アプリで「フレームなし」を選んで保存すると、10MPの画像が1MPになる事象をメーカー自身が告知している。改修は10月下旬に完了する予定と発表済みだ。

高画素を売りにした有線の道が、最後のアプリ保存で細くなる。

10MPに払って1MPを受け取る話、笑えない。

使い勝手もなかなか泥くさい。僕のスマホはケースを付けたままだと端子が奥まで刺さらず、毎回ケースを外していた。取り込んだ後もアプリで1枚ずつ確かめて保存するので、100枚撮った日の夜は指が疲れる。

無線の手軽さと有線の画素は別の買い物で、片方しか取れない。今のアプリでは有線側にも保存の細道が残っている。

41gが87gになった理由

初代PalとPal 2の重量・操作差

初代は約41gで、Pal 2は約87gになった。46g増えて倍以上の重さになる。

重っ、と最初は思った。

増えた中身は液晶モニターと光学ファインダー、物理ダイヤルとレバー、顔認識もこなすAFになる。センサーも大きくなり、内蔵メモリーは約50枚から約100枚に倍増した。

初代は撮った後にアプリで初めて写りを知る構成だった。Pal 2なら画面とファインダーで構図を確かめてからシャッターを押せる。

散歩中に顔認識AFが人の顔を拾ってくれる安心感は大きい。日中の発色も素直で、ダイヤルを回すたびにスマホと違う撮影の手触りがある。

代わりに起動まで約5秒かかる。ピントが合ってからシャッターが落ちるまでにも一拍あって、動くものは一拍遅れる前提で構える羽目になった。

46gは失敗の重さじゃない。操作部を持ち歩くための代金だと思う。

設計に払うのはどこまで

Pal 2へ払う価格の境界

エフェクトは30種類ある。ただし本体に常時載せておけるのは6種類までで、入れ替えにはアプリ接続が要る。

30種の看板に対して、手元で選べる枠は6個。

とはいえ色味を本体で決めて撮るのは楽しい。後から加工する気のない人ほどハマるはずだ。

暗い場所は厳しい。センサーが小さいので、夜の室内ではノイズが目立ってくる。

電池は使い方で大きくぶれる。150枚撮って半分残った日もあったが、フラッシュやモニターの使い方で枚数は簡単に変わる。一日何枚と約束できる製品には見えない。

紙まで欲しいなら、同じくらいの値段で本体から刷れるmini Evoが候補になる。撮る遊びを安く試したいだけなら、もっと安いKodak Charmeraも並んでいる。

君ならどっち買う?

僕の裁定を書いておく。値札のうち設計に払っている実感があるのは、画面とファインダー、ダイヤルとレバー、AF、有線転送の部分になる。10MPの分はアプリが直るまで払う気になれない。

Pal 2はスマホから撮影の時間を切り離すための小型カメラだ。初代の持ち主が払う価値があるのは、液晶とAFと有線転送のために増えた46gの分になる。保存サイズの告知が片付くまで、10MPの数字には一円も上乗せしない。

出典