スマホのバッテリー残量を気にしながら搭乗口へ向かう。その不安を機内で解消してきたモバイルバッテリーの使い方が、4月24日から変わります。
モバイルバッテリーは機内に持ち込める。それは変わりません。変わるのは、持ち込んでも機内では使えないというルールが加わることです。
国土交通省が4月14日に公表したこのルール変更は、4月24日から国内線・国際線の全便に適用されます。GW直前のタイミングで、飛行機移動中のスマホ管理が変わります。
4月24日から何が禁止になるのか
今回の変更でいちばん大きいのは、機内での給電行為が全面的に禁止になることです。
4月24日以降、機内でモバイルバッテリー本体を充電することが禁止されます。それだけでなく、モバイルバッテリーからスマホやイヤホンなど他の機器への給電も禁止になります。
バッテリーを持ち込むことはこれまで通りできますが、機内でバッテリーを使うことはできなくなります。
持ち込める個数は1人2個まで。容量は160Wh以下に限られます。預け入れ荷物への収納が禁止されているルールは変更ありません。
JALとANAはどちらも4月24日搭乗分から新ルールを適用すると案内しています。JALは3月30日付で告知ページを公開し、ANAも事前告知を出していました。
変更前後の比較をまとめると以下のようになります。
| 項目 | 4月23日まで | 4月24日以降 |
|---|---|---|
| 預け入れへの収納 | 禁止 | 禁止(変更なし) |
| 機内持込み個数 | 容量帯ごとの制限 | 160Wh以下を2個まで |
| バッテリー本体の機内充電 | 明確な制限なし | 禁止 |
| 他機器への機内給電 | 明確な制限なし | 禁止 |
なぜ今、規制が強化されたのか
背景にあるのは、リチウム電池の機内での発煙・発火事故が増えていることです。
モバイルバッテリーに使われているリチウムイオン電池は、充電中や過放電の状態で発熱しやすい性質があります。地上であれば周囲を換気したり消火器を使ったりできますが、高度1万メートルを飛ぶ機内では状況が違います。
リチウム電池の熱暴走は一度起きると連鎖的に進みます。1つのセルが過熱すると隣のセルも高温になり、連鎖発火が起きやすい。密閉された機内で煙が充満すると、乗員の初動対応が難しくなります。
国際民間航空機関(ICAO)が今年、リチウム電池の機内使用に関する国際基準を緊急改訂しました。今回の国土交通省の規制変更は、その改訂を受けた対応です。
「緊急改訂」という言葉の重さに気づいてほしいんですよね。ICAOは国連の専門機関で、世界の民間航空の安全基準を決める組織です。そのICAOが通常の改訂サイクルを飛ばして動いたということは、事故の発生頻度や深刻度が実態として上がっていたということでもあります。
個人的には「充電できなくなる」というルールより、「なぜそこまで動いたか」の背景が一番気になった部分です。
持ち込める上限「160Wh」はどのくらいのバッテリーか
160Wh以下という容量の上限は、一般的な市販品であれば問題なくクリアできる数字です。
容量の単位としてよく見るmAh(ミリアンペアアワー)をWhに換算するには、mAhにバッテリーの電圧(一般的に3.7V)をかけて1000で割ります。20,000mAhのバッテリーなら約74Wh。40,000mAhの大容量バッテリーでも約148Whで、160Whを下回ります。
問題になりやすいのは、数年前に購入した古いバッテリーです。Wh表記がなくmAhしか書かれていない製品は多く、空港のセキュリティで容量確認を求められると、その場で計算が必要になります。
mAhの数字がわかれば「mAh × 3.7 ÷ 1000」でWhが計算できます。10,000mAhなら37Wh、20,000mAhなら74Wh。どちらも160Whを大きく下回ります。
ただし、本体に容量表記そのものが見えにくくなっているバッテリーは、空港で判断に時間を取られる可能性があります。出発前に確認しておくのが確実です。
機内での段取りが変わる
今回の変更で移動の段取りが変わるのは、バッテリー切れへの対処法です。
これまでは「飛行機に乗ってからモバイルバッテリーで補充すればいい」で済みました。4月24日以降はその選択肢がなくなります。
GWの移動で新幹線と飛行機を乗り継ぐ場合、飛行機に乗る前の段階でスマホとモバイルバッテリーを満充電にしておく必要があります。新幹線の車内コンセントで充電してから乗り継ぐ、という段取りを事前に考えておく価値があります。
タブレットやワイヤレスイヤホンを機内で使う人も同じです。それらへの給電もできなくなるため、搭乗前の充電が前提になります。
座席コンセントやUSBポートのないLCCを利用する場合、影響はさらに大きくなります。フルサービスキャリアなら座席から充電できますが、LCCではそれもない。モバイルバッテリーを機内で使えない状態で長時間フライトに臨む、という前提が固まります。
フライト時間が長い路線ほど影響は大きい。国際線の長距離フライトでは、乗り継ぎを含めた全行程の充電管理を事前に考えておく必要があります。
出発前に確認しておくこと
搭乗前に済ませておくことを3点に絞ります。
持っているモバイルバッテリーのWh表記を確認すること。mAhしか書かれていない場合は「mAh × 3.7 ÷ 1000」で計算できます。160Whを超える場合は持ち込み不可です。
個数を2個以内に絞ること。普段複数本持ち歩く習慣がある人は、出発前に見直してください。
スマホ・タブレット・イヤホンを含めて搭乗前にフル充電しておくこと。機内でのバッテリー補充は新ルールでは禁止されます。
航空会社ごとに案内文言の細部が異なる可能性があります。利用便のサイトで最新情報を確認してから空港に向かうのが確実です。なお今回の変更は持ち込む本体の容量だけでなく、機内での行動も対象です。うっかりバッグからバッテリーを取り出してスマホに繋いだ場合も、ルール違反に当たります。

