郊外ドライブや登山の帰り道で、スマホの電波が消える場面を経験した人は多いと思います。位置を伝えたい、メッセージを送りたいのに、画面の右上には「圏外」の文字だけ。
KDDIは4月23日、UQ mobileの一部プランを利用しているユーザーを対象に、衛星通信サービス「au Starlink Direct」を2026年5月利用分から月額0円にすると発表しました。
毎日使う機能ではありません。ただ、年に数回の圏外場面に備える仕組みが追加費用なしで日常プランに含まれるようになると、衛星通信の扱いが変わります。
5月から月額0円になる対象と条件
無料化の対象は、UQ mobileの「コミコミプランバリュー」または「トクトクプラン2」を利用していて、au Starlink Direct専用プラン(専用プラン+または旧専用プラン)に加入しているユーザーです。2026年5月利用分から適用で、追加の手続きは不要。加入済みであれば自動的に0円になります。
au Starlink Directそのものは2025年5月に始まったサービスで、開始当初からUQ mobile・povo・他社回線を含む複数のブランドで提供されていました。今回の発表は新サービスの立ち上げではなく、UQ mobileの特定プラン利用者に限った料金条件の改善です。
これまで対象プランの利用者は、加入から3カ月目まで無料、4カ月目以降は月額550円でした。その550円が5月から0円になります。対象外のUQユーザー・povo利用者・他社回線のユーザーは、4カ月目以降1,650円のまま変わりません。
| 対象プラン利用者 | 対象外(povo等) | |
|---|---|---|
| 加入後3カ月目まで | 0円 | 0円 |
| 4カ月目以降(従来) | 550円/月 | 1,650円/月 |
| 4カ月目以降(5月から) | 0円/月 | 1,650円/月 |
KDDIは今後、専用プランへの加入なしでも対象プランの利用者がStarlink Directを使えるよう準備を進めると案内しています。現時点では専用プランへの加入が前提ですが、手続きの簡略化は今後進む見込みです。
圏外でも使える機能と、使えない機能
au Starlink DirectはSpaceX運営のStarlink衛星を経由して、地上の基地局が届かない圏外エリアとの通信を補完するサービスです。2025年5月のサービス開始以降で利用者数は350万人を超えています。
圏外で使える機能は、メッセージ送受信・位置情報共有・緊急地震速報の受信・対応アプリでのデータ通信です。音声通話の代わりにはならず、ブラウザを開いてWebを閲覧したり動画を再生したりするような通常のデータ通信も現時点では対象外。緊急連絡と安否確認に絞った設計です。
au公式が案内する日本の人口カバー率は99.9%超ですが、面積カバー率は約60%。残る約40%は山岳地帯・沿岸部・過疎地などで、衛星が使われるのはその部分です。人口ベースと面積ベースで大きく数字が変わるのは、人が住んでいない広大な土地が日本には多いからで、圏外の多くはそこに集中しています。
Appleも2024年7月から日本で衛星経由の緊急SOSをiPhoneで使えるようにしています。ただしAppleの機能は緊急連絡に特化していて、普通のメッセージ送受信には使えません。au Starlink Directはメッセージと位置共有が使えることで、緊急ではないけれど圏外で連絡したい場面をカバーしている点が役割の違いです。
年に数回しか使わない機能をどう評価するか
月に何十回も使う機能ではありません。登山やキャンプ、フェリー乗船、山間部へのドライブが生活に入っていない人は、月に一度も使わないと思います。
保険の考え方で整理すると、印象が変わります。旅行保険に入っていても使わない年がほとんどですが、使いたい場面で入っていなかった後悔の方が大きい。圏外での連絡手段もそれに近い話で、「使わなかった」は問題ではなく「使えた」時の価値が判断基準になります。
個人的には、550円/月(年間6,600円)は年に2〜3回の圏外場面を考えると判断に迷うラインだと思っていました。0円になれば迷いようがない。iPhoneでAppleの衛星SOS+Starlink Directのメッセージが両方使える状態が、現時点での圏外対策として一番厚い構成です。
実際に使う前に確認しておくこと
衛星通信なので、空が広く開けた場所であることが条件です。木が密生した森の中、ビルに囲まれた都心部、トンネル内では信号が届きません。山道でも木の枝が多い場所では接続が難しいことがあります。
機種の対応状況にも確認が必要です。iPhoneはiOS 18以降の対応機種、Androidは一部機種のみが対象で、全てのスマートフォンで使えるわけではありません。auのStarlink Directページで自分の機種が対応しているか事前に調べておく必要があります。
KDDIは同じ4月23日の発表で、衛星回線を活用した「au Starlink Direct SOSセンター」の設置も告知しています。2026年5月下旬に開始予定で、衛星通信経由の緊急連絡を専門スタッフが受け付ける仕組みです。料金面の変化と並行して、緊急用途での活用範囲も5月下旬に一段広がります。

