総務省が公表した2026年3月末のデータでは、MVNOサービスの契約数は4277万件に達しました。前年同期から12.5%増えた数字です。

ただ、この4277万件を「スマホ向けの格安SIMが同じ数だけ増えた」と受け取るのは早計です。MVNOの集計には、スマホ以外の通信モジュールも入っています。乗り換えを考えるなら、契約数の大きさと自分の回線選びは分けて考えたいところです。

4277万件には通信モジュールも含まれる

総務省の「MVNOサービス」には、SIMカード型のスマホ回線だけでなく、機器に組み込む通信モジュールも含まれます。通信モジュールの契約数は、2025年12月末の1469万件から2026年3月末には1601万件へ増えました。

そのため、4277万件という総数だけでは、スマホの利用者がどの程度MVNOへ移ったのかは判別できません。数字の対象範囲を分けて見る必要があります。

一方、MVNOの契約数は前期比3.1%増、前年同期比12.5%増でした。総契約数に占めるMVNOのシェアも18.5%です。国内回線の選択肢としてMVNOが広がっている事実は、この数字から読み取れます。

総務省の区分2026年3月末受け取り方
MVNOサービス契約数4277万件通信モジュールを含む総数
通信モジュール1601万件スマホ専用の集計ではない
MVNOの全契約シェア18.5%国内回線全体に占める割合
SIMカード型MVNO内のIIJシェア24.9%MVNO内だけの構成比

シェア18.5%は「MVNO全体」の割合

事業者別シェアでは、NTTドコモが32.9%、KDDIグループが26.2%、ソフトバンクが18.7%、楽天モバイルが3.6%、MVNOが18.5%でした。

ここで混同しがちなのが、MVNO全体の18.5%と、MVNO内の事業者別シェアです。SIMカード型MVNOの内訳では、インターネットイニシアティブが24.9%、オプテージが8.2%を占めます。この割合はMVNO市場の内部構成であり、国内の全回線に対する割合ではありません。

数字の母集団が違うだけで、見えてくる位置づけも変わります。統計資料を読んでいると、この区別がいちばん引っかかりやすい部分です。

乗り換えの判断は4項目を別に見る

契約数が増えていても、月額料金だけで回線を決めると、日常の使い方と合わない場合があります。総務省の統計は通信速度や混雑時間帯の品質、サポート内容を比べた調査ではありません。

まず、通勤や自宅などで実際に使う場所の通信品質を、契約候補の事業者が示すエリア情報で確認します。昼休みなど利用者が集中する時間帯の評価も、公式の案内と利用者向けの公開情報を分けて見ます。

次に、手元の端末が使えるかを確認します。eSIM対応、動作確認端末の一覧、通話の設定、海外利用の扱いは事業者ごとに異なります。端末を買い替えずに移る場合は、ここで手続きが止まることがあります。

MNPで番号を引き継ぐ場合は、現在の契約先と移転先の案内を順番に確認します。MNPワンストップに対応する組み合わせなら予約番号が不要な場合もありますが、すべての手続きが同じではありません。

5G増加と4G減少は回線の移行を示す

同じ四半期の5G契約は1億2632万件で、前年同期比12.7%増でした。4G LTE契約は1億885万件で、前年同期比3.4%減っています。

この増減は、国内の回線利用が5Gへ移っていることを示すデータです。ただし、MVNOへ移れば必ず通信体験が変わるという意味ではありません。利用できる5Gのエリアや端末、契約プランの内容は、選んだ回線ごとに違います。

今回の4277万件は、MVNOが国内通信の選択肢として無視できない規模になったことを示す数字です。けれど、通信モジュールを含む集計である点を外すと、スマホの乗り換え判断まで一足で進んでしまいます。料金、生活圏、端末、MNPの手続きを一つずつ照らすほうが、自分の回線には合います。

出典