引っ越し先で光回線の工事を申し込んだら開通は1か月後と言われて頭を抱えた経験はない?
仕事もゲームもスマホのテザリングで耐え忍ぶ日々は想像するだけで胃が痛む。
そんな工事待ちの空白期間に苦しむ人を救うため、KDDIが2026年9月17日からauひかりプラスという新サービスを繰り出してきた。
届いた機器をコンセントに挿すだけで即座に5G通信が始まり、後から光回線が開通すれば勝手に切り替わる。光回線の工事待ちを埋めるアプローチとして、この発想には文句なしに拍手を送りたい。
しかし安心パックのような顔をして売られている看板には裏がある。
工事待ちを5Gで埋める設計
光回線を契約したはずなのに、箱から出した専用ルーターはまずモバイル回線をつかんで動き出す。
開通工事が終わった瞬間、利用者が設定をいじらなくても自動で光回線へ移っていく。今までのホームルーターみたいに開通後に機器を返却して別の機械を繋ぎ直す手間が存在しない。
面倒な設定変更や機器の返却作業から解放される人は多い。
繋ぎっぱなしで待てるのは素直に便利だと思う。家中のスマート家電やパソコンの接続先を後から書き換える苦行が消え去るからだ。
ただしこのスムーズな移行の恩恵を受けられるのは対応エリアに住む人に限られる。マンション向けの配線方式によっては対象外になるケースもあり、限られた住まいのための選択肢にとどまっている。
6GHz帯に潜む月額の罠
ハードウェアには最新規格のWi-Fi 7を積んだ専用ルーターが用意された。
最速の通信速度を誇る電波を使えると期待するなら、料金表の細かい文字を凝視してほしい。広い帯域を誇る6GHz帯を解放するには、月額770円のWi-Fiパックへ加入する必要がある。
ルーター本体が対応しているのに、電波の鍵を開けるため毎月追加の小銭を払わされるわけだ。
パックにはセキュリティや迷惑電話対策も抱き合わせで入っている。純粋に電波の性能目当てで申し込むと、余計な機能の維持費まで背負い込む羽目になる。
代表例として出された戸建て向けのプランだと、開通前の月額は約4600円で開通後は約6400円まで跳ね上がる。機器のレンタル代や割引の終了時期まで計算に入れないと、後で請求書を見て息が止まる。
| 項目(ホーム10ギガ・2年契約・BIGLOBEの例) | 開通前(au 5G) | 開通後(光回線) |
|---|---|---|
| ネット料金(円/月・税込) | 4,642 | 6,380 |
| Wi-Fiパック(6GHz帯の鍵・任意) | 770 | 770 |
| ルーターレンタル | 858 | 858 |
| 光回線障害時の5G切替 | 対象外 | 手動(自動は2026年度内の更新待ち) |
障害時の自動切替は年度内
僕が一番腹を立てているのは、災害時のバックアップという宣伝文句に他ならない。
光回線が切れたら自動で5Gに逃げてくれる頑丈な回線を夢見て申し込むと痛い目を見る。サービス開始の9月17日時点では回線が落ちても勝手には切り替わらない。
突然ネットが切れた瞬間に自力でルーターの線を引っこ抜ける?
KDDIが案内している当面の切り替え方法は管理画面の設定変更かLANケーブルの抜去、この2つしかない。平日の昼間に家で留守番している家族のネットが死んだら、大パニックになる。
自動で障害を検知して切り替える機能は、2026年度内に予定されている更新までお預けになっている。
工事待ちの数週間を快適に凌ぎたい人には救世主になる。けれど完全自動の頑丈なバックアップ回線を手に入れたいなら、アップデートの配信を待つのが正解だ。



