10月13日、AppleはLGエレクトロニクスとシュナイダーエレクトリックの2社と手を組み、機器群「Apple Home Collection」を発表した。ドアベル、屋内外のカメラ、スマートロック、サーモスタット、温度センサーまで全部をAppleのホームアプリで動かす新シリーズになる。
日本語の発表文には日本のApple Storeでも12月から売り始めると書いてある。ところが同じページの製品ごとの欄では、販売国が米国・カナダ・英国しか並んでいない。スマートロックとサーモスタットに至っては米国とカナダだけ。
どっちを信じろっていうんだ?
一番ヒヤッとするのは年末にiPhoneのホームアプリで家じゅうの機器を揃え直そうとしていた人だろう。今のカメラや鍵を先に売り払ったのに日本の棚に新シリーズが並ばなければ、玄関は昔ながらの鍵穴に逆戻りになる。
今は待つのが正解だと思う。食い違いは販売国だけにとどまらないからだ。
家の入口をAppleが握りに来た
今回の発表の本体はカメラの画素数じゃない。メーカーごとに散らばったアプリとアカウントをホームアプリ一本に束ねる導線のほうだ。
iPhoneでタップすれば設定が始まり、専用アプリも追加アカウントも要らない設計を掲げている。作り手が二社に分かれていても、操作する画面は一枚で済む。
メーカー別アプリだらけのホーム画面ともお別れか?
ただし最新OSのiPhoneとApple Account、対応ホームハブはしっかり要る。HomePodやApple TVのようなハブが家に無ければ、新シリーズの入口はそもそも開かない。
アプリが減った分だけ、ハブが買い物かごに乗ってくる。
カメラを増やすと月額も育つ
カメラのイベント履歴を残すにはiCloud+の契約が要る。50GBで1台、200GBで最大5台、2TBで無制限という刻み方になっている。
玄関のドアベルと庭のフラッドライトカメラと居間の屋内カメラ。三台付けた時点で一番安いプランは卒業になる。
カメラ本体を買えば終わりだと思っていた人は、毎月の引き落としを見て真顔になるだろう。
録画の要約や言葉での検索まで欲しければ、Apple Intelligence対応のiPhoneかiPadも要る。台数の枠は今後変わる場合があるとAppleは注記していて、契約の物差しまでAppleの手の中にある。
米国価格でドアベルは249.95ドル、スマートロックは349.95ドルから。鍵の値段は近づくだけでUWBが解錠する仕組みと、PINパッドやゲストアクセスまで含めた設計代として飲める。
腹が立つのはカメラのほうだ。本体の値段は設計に払う分として納得できても、履歴を残す代金は台数に合わせて毎月上乗せされていく。
レジで払った額なんて頭金にすぎない。
Matterという逃げ道
家の機器を一社にまとめない道もある。それがMatterだ。Google HomeにもAlexaにもAppleのホームアプリにもまたがって操作できる相互運用規格になっている。
グーグルのアプリで組むなら、この規格に対応したハブとIPv6の通る回線が要るし、Threadで動く機器には中継役のボーダールーターまで必要になる。
手間は増える。代わりにメーカーもアプリも後から選び直せる。
新シリーズがその通信方式に対応すると書いた報道はある。それでも共通規格の認証まで一括で確かめられる一次情報は出ていない。
このメーカーの家に一度住み着いたら、引っ越しの面倒は年々重くなるはずだ。君の家にもアマゾンのスピーカーが一台くらい転がってない?
全部を一社で揃える家なら、一枚の画面は気持ちいいと思う。でも混ぜて使う家だと、共通規格の横断性を捨てるだけの理由がまだ見えてこない。
日本で12月に買えるのか
日本の直営店で12月から、という一文は確かにある。でも製品別の欄は米国・カナダ・英国で止まっている。一部の機器は2027年初頭にずれ込む。
同じ日に出た7インチ画面のHomeViewは日本で売る予定が無い。日本語ページでは販売開始の一文だけが先行していて、日本向けの値札は一枚も出ていない。
看板を出すなら値札も一緒に出してほしい。
日本の製品ページに価格と販売時期と対応ハブの一覧が並べば、話は変わってくる。iPhoneとHomePodがすでに家にある人なら、鍵かドアベル一台から試す判断も立つだろう。
家の機器をホームアプリ一本に束ねる設計は筋がいい。それでも今の新シリーズは、日本で買える日も毎月の契約額も読めない名前でしかない。年末に外していい防犯カメラと玄関の鍵は、今のところ一つも無い。

