毎回出発前に律儀に予約して、1日800円で海外データを使ってきた人がいる。2027年2月から、その人の旅は1日ごとに180円ずつ高くなる。

KDDIと沖縄セルラーが「au海外放題」の作り直しを発表した。料金は全地域一律の980円で24時間、税の上乗せも無い。予約の手間はなくなり、予約で浮かせていた差額も一緒になくなる。

真面目に予約してきた人ほど損をする改定って、どういう理屈なんだ?

予約派の財布が負ける

対象プランと開始方法の分岐

変更前の料金は3段階だった。事前予約で800か1000、予約なしだと1200。行き先と予約の有無で1日の値段が変わっていた。

新しい料金表では全部が980に揃う。

予約なしで1200払っていた人は220下がる。予約して1000だった地域の人は、たった20の値下げにとどまる。800の地域で予約していた人だけが180上がる。

20の値下げで喜べる人、いる?

KDDIは改定の理由に予約手続きの負担を挙げている。手間を減らす方向は正しいと思う。でも手間をかけてでも安く済ませたかった人の工夫は、一律化でまとめて取り上げられた。

雑に「値下げ」と呼ぶ記事を見るとイラッとくる。980は予約せずに飛び出す人への値下げで、計画的な人への値上げでもあるからだ。

自動で始まるのは一部だけ

予約方法別の料金差

もう一つの目玉が到着後の自動開始だ。海外に着くとすぐにデータ通信が始まる仕組みで、対象は特定の料金プランの加入者に限られる。

対象はauバリューリンクプラン各種、auバリューリンク マネ活2各種、使い放題MAX+各種、auマネ活プラン+各種の4系統。名前に見覚えが無ければ、たぶん対象外の側にいる。

その他のau、UQ mobile、povo1.0の利用者も予約は要らなくなる。ただし海外に着いたら自分で利用開始の操作をする必要が残る。

予約不要と自動開始は、似ているようで別のものだ。

しかも対象プランの人でも、スマホのデータローミング設定をONにしておかないと通信は始まらない。キャリア側が自動でも、端末の設定までは勝手に切り替わらない。

自動って言葉、どこまで信じていいの?

半年もすれば「auは予約不要」という一言だけが独り歩きするはずだ。到着後に操作が要る人が、空港のベンチで固まった地図アプリを眺める羽目になるだろう。

10GBで落ちる放題

10GB制限と最大5Mbps

名前は「放題」でも、24時間で10GBを超えると通信速度は最大5Mbpsに落ちる。通信は続くものの、高速で使えるのは10GBまで。

宿で動画を流し続ける人や、ノートPCにテザリングして仕事のファイルを落とす人ほど10GBの上限に近づく。980で買えるのは丸1日の高速通信と思い込むと、夜に速度表示を見て黙り込むことになる。

対象プランには毎月15日分の無料特典が付く。リニューアル後はアプリで無料特典の適用状況と残日数が出るようになり、渡航中や帰国後の利用料金とデータ量もリアルタイムで見られる。

残日数が見えるのは素直に賢い改善だと思う。無料なのか請求されるのか分からない不安を、KDDI自身が改定の理由に挙げていたくらいだ。

ただしアプリは開かないと何も教えてくれない。

980のうち設計の取り分

渡航前に確認する3項目

僕の評価はこうだ。980のうち設計に払う分は、到着後の自動開始とアプリの残日数表示まで。「放題」の看板は広告で、10GBを超えたら最大5Mbpsに落ちる時点で名前負けしている。

800の地域で予約していた人にとって、上乗せの180は予約ボタンを押さずに済む手間賃になる。数十秒の操作に1日180は高すぎる。5日の旅なら900の持ち出しで、その差額を返してくれる人はどこにもいない。

2027年1月31日までの渡航には今の料金表が適用される。1月に800の地域へ飛ぶ人は、最後の予約割引を使い切れる。

2月以降に飛ぶ人が出発前に開くのは3か所になる。

まず契約中の料金プラン名で、自動開始の対象かどうかが決まる。次にスマホのデータローミング設定。最後がau海外放題アプリの無料残日数で、表示されるのは対象プランの人だけになる。

予約画面は消えても、請求につながる確認先は一つも減っていない。空港で設定画面を探して慌てるくらいなら、今夜のうちに自分のプラン名を確かめておくのが一番安上がりだ。

出典