10月16日の昼過ぎにドコモのスマホで緊急地震速報が鳴らなかった。
カムチャツカ半島付近の地震に伴う速報で、対象は北海道から東海、伊豆諸島までの広い地域。ほかの携帯会社の回線では正しく届いたとされている。
同じ地域でドコモに毎月払っている人なら背筋が冷えたんじゃないか?
隣の人のスマホだけが鳴って自分のは鳴らないまま。想像しただけで嫌な汗が出る。
止まったのは受け取り口
原因はドコモのシステムの入口にあった。従来と一部形式が異なるデータが届き、システムが正しい情報だと認識できなかった。
警報はスマホにたどり着く手前で門前払いされていたわけだ。
形式が少し違うだけで、命に関わる通知を丸ごと取りこぼす設計ってどうなんだ?
初報の説明は「当社システム不具合」の一言だった。翌日になって、データ形式の認識失敗という中身がやっと出てきた。どのデータ項目がずれていたのかは、今も明かされていない。
警報の出し手は気象庁。携帯会社はそのデータを受け取って、対象エリアへ一斉に流す役目を担う。今回は受け取りの段階で詰まったので、自分の端末をいくら疑っても答えは出てこない。
30時間の空白と再送ゼロ
ドコモが今回の形式でも配信できるよう直したのは、10月17日19時04分。障害の発生から約30時間かかった計算になる。
長い。
その間にもう一度大きな揺れが来ていたら、と考えるとぞっとする。
しかもエリアメールには、SMSのようにセンターが預かって後から届ける仕組みがない。対象エリアへ一斉に流して終わり。届かなかった警報が、あとから通知欄に届くことはない。
鳴らなかった警報は、永遠に鳴らない。
回線が混んでも影響を受けない配送路は、災害時の設計として理にかなっている。そのぶん入口で一度弾かれれば、取り戻す手段もない。片道切符の通知なのだから、入口の読み取りだけは落としてほしくなかった。
エリアメールは申込不要で、月額も通信料もかからない。とはいえ僕らが毎月払う料金には、この入口が使えなくならない設計の分も含まれているはずだ。広告やキャンペーンに回す金があるなら、まず警報の受け取り口に回してほしいと思う。
復旧後に残る確認は?
19時04分の対応は、今回受け取った形式を読めるようにした修正になる。全機種・全地点で必ず鳴る保証は、修正の範囲の外にある。
端末側には、受信を左右する要素がまだ残っている。
まず、使っている端末がそもそも対応機種かどうか。次に、緊急速報の受信設定がオンになっているか。ここまでは手元のスマホですぐ確かめられる。
そのうえで、電源が入っていなければ警報は受け取れないし、圏外や電波の弱い場所にいても届かない。設定が正しくても、端末が置かれた状態次第で取りこぼす余地は残る。
ドコモは対応機種以外で動作を確かめていない。古い機種を使い続けている人ほど、一覧に自分の端末が載っているかで明暗が分かれる。
買い替えも、専用アプリの追加も要らない。
もう一つ厄介なのが気象庁側の話。同じ地震で気象庁は地震の規模をM9.9と過大に見積もる別の誤報を出し、夜になって緊急修正した。ドコモの不具合とは原因が別で、作る側と届ける側の両方でトラブルが重なった一日だった。
携帯会社が直しても、警報の中身まで正しくなるとは限らない。
ドコモはどの形式まで読めるようにしたのか、再発をどう防ぐのか。そこを具体的に出さないと信頼は戻らないだろう。
読み取り口は直った。だから次の揺れに向けて、スマホの通知欄一本に防災を預けない形へ組み替えておくのが賢い。
自治体の防災通知に登録してテレビかラジオをすぐ点けられる場所に一台残しておけば、どこか一箇所が詰まっても警報は別の道から届く。今日やるのは、緊急速報の設定画面を開いてスイッチがオンかを確かめること一つで足りる。



